【感想】朗読劇 『やがて君になる 佐伯沙弥香について』

こんにちは、野分一夏です。お久しぶりです。

気づけば一年間もブログを更新していなかったことに、特に驚きはないのですが、謎の申し訳なさはあるので、これから書いていこうと思います。


というわけで、『やがて君になる』のスピンオフ『佐伯沙弥香について』の朗読劇を観てきました!


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元々、2019年の5月に上演された舞台『やがて君になる』の再演が2020年10月~11月に上演予定だったのですが、新型コロナウイルスの影響で延期となってしまいました。

ただ、そのまま延期ではなく、元々の日程のところに『佐伯沙弥香について』を朗読劇の形で距離を確保して上演することになりました。

私はやが君については、原作、アニメ、舞台を履修済みですが、ささつの原作は未読です。なので、以下、原作を知らない人の感想です。


感想

もう心がしんどすぎて最高でした...

佐伯沙弥香を浴び続けて、沙弥香と一緒に心を動かして、動かされて、走り抜けた2時間半でした。

沙弥香がまっすぐ真面目に柚木先輩、そして、七海燈子に向き合い続けた姿に、何度も胸が苦しくなり、涙がこぼれました。相手のことを想い、もがき続ける佐伯沙弥香のことが本当に好きになりました。

やがて君になるは、侑と燈子が変わる物語と今まで思っていましたが、今回、朗読劇を観て、それと同じく沙弥香も変わっていく物語だと分かりました。

誰かの望む私になろうとして、良き友人であろうとした燈子に対して、一歩踏み出して告白する沙弥香の変化に心揺さぶられました。

最後の「好きよ、燈子」は沙弥香の燈子に対する想いがつまりすぎて、すでに泣いてるのにそこからまだあふれ出してきました。恋人になるという形では報われなかったですが、燈子を好きになって本当によかったという気持ちになりました。そして、沙弥香が沙弥香であり続けてくれてありがとうの気持ちでいっぱいでした。

そして、カーテンコールでの、ワンテンポ、いや、ツーテンポほど遅い拍手がこの朗読劇ささつの素晴らしさを表していると思います。心が佐伯沙弥香一色になっていて放心しているところに、キャストのみなさんが礼をし始めて、拍手を思い出したかのように始める空間が本当に好きです。

こういうことを言うと本当にあれなんですが、今、この朗読劇が観られて本当に良かったという気持ちでいっぱいです。本来なら何も憂いなく、舞台やが君の再演ができることが一番だと分かっているのですが、朗読劇ささつで佐伯沙弥香について知ることができて、とても嬉しかったです。ますますやが君のことを一層好きになりました。

この丁寧で繊細で素敵な朗読劇をお届けいただき、本当に本当にありがとうございました!


朗読劇について

公式も言われてますが、ほぼ普通の舞台と言っていいほど、動いて演技していて驚きでした。 おそらく通常の舞台との違いは、各キャストが台本を持っていることと、キャスト同士の距離を取っていることくらいだったのではと思います。

ただ、個人的にはほぼ普通の舞台と言ってしまうともったいない気がします。 制約のない中での普通の舞台で、キャスト同士が近づく絵で魅せられるのが一番と思いますが、ささつについては今の形がとてもハマったと思っています。

朗読劇という前提があることで、原作の繊細な言語表現をしっかり入れられたのではと思います(原作未読) そして、自分の名前の漢字や付き合うという言葉の意味を調べてしまう佐伯沙弥香を表現する手段は、言葉が合っていると思いました。

もちろん言葉だけでは難しいところも多いので、そこを動きに表情に演技を拡張してより良いものにして、いい形の朗読劇になったと思います。なので、ほぼ普通の舞台というより、枠をはみ出したとんでもない朗読劇と思いました。


佐伯沙弥香について

もう本当に好きです。 沙弥香は良い子と言ってしまうと、適当と言われそうですが、そのまっすぐさ真面目さ努力家なところを全部ひっくるめると、良い子という表現がしっくりくるのが沙弥香だと思いました。

そして、物語の中で、どこが好き?とずっと考えていた沙弥香の結論が、燈子に対しての「ぜんぶが好き」というのが、エモくて本当に好きです。 柚木先輩に「全部じゃだめかな」と言われて、「適当な逃げ道」と返した沙弥香が、燈子に一目惚れして、燈子の弱さを知って、寄り添っていく中で、ぜんぶが好きと言ってしまうのが、つながっている感じが良いなと思います。


各キャストについて


佐伯沙弥香 役 礒部花凜さん

礒部さんが沙弥香で本当に良かった・・・。

舞台やが君の初演から、その佐伯沙弥香の完成度に、思っていたことではあるのですが、今回の朗読劇を観て、その意味の重さがとても変わりました。

礒部さんの沙弥香は、見た目の容姿も、透き通る声も、育ちのよいお嬢様と分かる説得力が強くて、本当に沙弥香だと思います。 沙弥香たらしめる要素は色々あると思うのですが、その中でも、真面目さが沙弥香なのかなと思いました。

朗読劇ささつでは、語りや回想などでは台本を読みますが、基本は台本は見ずに演技しています(おかしい) ただ、沙弥香については、気にならない程度に台本を見ていて、その仕草が沙弥香らしいなと思いました。 1つ1つ丁寧に間違えないように、目で見る、頭で理解する、声に出すの一連の流れを、真面目に行う姿が、とても沙弥香らしく思えて好きです。

そういった所作が沙弥香なんだと思いました。

そして、2時間半もほとんど舞台上に出ずっぱりで、沙弥香を演じていて、すごかったです。心も動かす必要がある中で、柚木先輩に七海燈子に真面目に向き合って毎回振られるのは、本当に大変だと思うのですが、それを感じさせない熱量と新鮮さで演じられていて、それが観られるのが嬉しかったです。

改めて、磯部さんが沙弥香で良かったと心から思いました。


七海燈子 役 小泉萌香さん

近くで見ると七海燈子一色になるというのが、疑問なく納得できることが、小泉さんの燈子の凄さだと思いました。

そして、沙弥香の家の猫に会うシーンは本当にやばかったですね…

猫と遊ぼうとする燈子が可愛すぎて、ほっこりしてました。 燈子が沙弥香に「ゆるい顔してる」と言ったとき、はっとして自分の顔を確認していまいました。誰も観ていないのに、マスクをしていて良かったと思えるくらいに、自分もゆるんでました。すっかり沙弥香の目線になっているのを感じました。

そして、小泉さんの燈子はどこを切り取ってもそのときの燈子だったのが、とても良かったです。 物語の中で、燈子自身も変わっていきますが、ささつは沙弥香の目線なので、侑が登場してからの変化は、朗読劇では描写がありません。

ただ、ささつの裏(やが君本編)での燈子の変化が、朗読劇で表れていて、ちゃんと七海燈子だと思いました。 特に、侑を推薦責任者に誘う時の、侑のことしか考えてない声色は、今まで沙弥香と一年過ごしてきたのを感じさせないもので、その燈子に変化に沙弥香と一緒に驚きました。


小糸 侑 役 河内美里さん

語り部のときの河内さんは優しい眼差しと声が良かったです。ただ、必要以上に優しくないところが語り部らしいと思いました。

沙弥香の部長就任のときに一緒に拍手してたり、せりざわとおおがきをのぞいているシーンで一緒に見てたりするの可愛くて好きです。 ただ、それ以上の存在感はないというか、不思議なバランスで、沙弥香に寄り添う感じが、本当に妖精に思えます。

そして、小糸侑さんは動きが可愛い可愛い。沙弥香が生徒会劇のタイトルをいうときに、口パクを合わせてるの好きです。 ただ、舞台上の侑は本当に沙弥香に先輩後輩という関係以上の興味がなくて、七海先輩のことを考えている感じが、ちゃんと小糸侑でとても良かったです。


槙 聖司 役 伊崎龍次郎さん

語り部の伊崎さんは優しい眼差しと声が良かったです。河内さんと同じ書き出しになってしまいましたが、それくらいこの語り部の2人は、同じ気持ちで沙弥香に寄り添っていたのではと思います。 伊崎さんの語り部の声は、男性というのを感じさせない自然さがあって、本当に語り部は妖精みたいな存在だと思いました。

そして、槙聖司は沙弥香の目線から見ると、なかなかの煽りっぷりですが、その配慮のない言い方が槙聖司らしくて、良かったです。


柚木千枝 役 七木奏音さん

柚木先輩は無邪気でとても可愛かったです。 ハンバーガー屋さんでオドオドしている柚木先輩の動きが好きです笑 あと、こういうことやああいうことを聞かれて、「もうやだ」と返すところの手の動きも好きです。

キスをしてからの先輩は、ひどいと思いながらも、憧れが期待と違うことに素直に困惑するのが、先輩の無邪気さなんだと思いました。 それにしても、地面を奪われている沙弥香の隣で、微妙としか形容できない微妙な顔をしてるのは、客観的に見ると配慮がなさすぎるのですが、先輩は真剣に憧れと現実のギャップを考えている感じもあって良かったです。


アンサンブル 佐藤和斗さん、遠藤拓海さん、丸茂寧音さん、内田彩澄さん

佐藤さんは、沙弥香からそれ呼ばわりされている告白する男子が良かったです。「この際だから言っとくけど、顔」の言い方が好きです。

遠藤さんは、舞台やが君からですが、久瀬会長が好きです。全幅の信頼です。「って、聞けよ!」が今回も聞けて嬉しかったです。話しているときの眉毛の動きが好みです。

丸茂さん、内田さんのコンビは、愛果とみどりのわちゃわちゃが良かったです。 お弁当を食べるところでの2人が楽しそうにしているのが、沙弥香と燈子の関係性を引き立てていて良かったです。


まとめ

今回、難しい状況下で、スタッフ、キャストのみなさんが稽古の段階からしっかりと対策を実施していただいて、無事に千秋楽まで公演を届けていただいて、本当に感謝しかないです。

初日に配信をするのは珍しいらしいのですが、その理由が千秋楽まで公演できるか分からないというのに、改めて、今の状況の厳しさを感じました。

そんな中、こんなに素敵な朗読劇を観られて、本当に嬉しかったです。本当にありがとうございました!

舞台やが君のencore公演はいつになるかまだ分かりませんが、心から楽しみにしています。



公演概要

公演名:朗読劇「やがて君になる 佐伯沙弥香について」
日時:2020年10月29日(木)〜11月8日(日)
会場:品川プリンスホテル クラブeX
出演:礒部花凜、小泉萌香、河内美里、伊崎龍次郎、七木奏音、佐藤和斗、遠藤拓海、丸茂寧音、内田彩澄
演出:葛木 英
脚本:鈴木智晴(劇団東京都鈴木区)
主催・制作:トライフルエンターテインメント
公式サイト:http://yagakimi-stage.com/